いざというときに役立つ!不動産相続に関する手続きの流れを解説

いざというときに役立つ!不動産相続に関する手続きの流れを解説

不動産などの財産を所有する人が亡くなったとき、遺された財産を相続する手続きが必要です。
相続を受けるのは人生のなかで何度もあるものではないため「どんな手続きをどのような流れでやらなければならないのか、まったくわからない…」という方も多いのではないでしょうか?
そこで今回はおもに土地や家屋など不動産相続にスポットを当て、手続きの流れや必要書類、相続のためにかかる諸費用などをまとめてご紹介。
今すぐ不動産相続に関する情報が欲しい方はもちろん、いざというときのために備えておきたい方も、ぜひご一読ください。

不動産相続に関する手続きの流れ①遺産分割協議などの流れ

不動産相続に関する手続きの流れ①遺産分割協議などの流れ

まず被相続人がなくなってから、やるべき手続きの流れを見てみましょう。

死亡届の提出・遺言書の確認

こちらの手続きは被相続人が亡くなったとき、最優先にやっておくべき重要事項。
死亡届は死亡後7日目までに、市区町村の役場に提出します。
遺言書の有無はもちろん、遺言書がある場合、自筆証書遺言か公正証書遺言かも手続きのために重要なポイントとなるので確認しましょう。
自筆証書遺言の場合は、封を開けずに家庭裁判所へ検認の手続きを申し立てます。
より確実性が高い公正証書遺言の場合は、家庭裁判所での手続きは不要となるため、そのまま次の手続きを開始します。

相続人の確認

不動産を相続する人が誰なのか確認します。
法定相続人のほかにも、遺言書によって指定された人が相続人となることがあるのでしっかりと確認しましょう。

遺産分割協議

遺言書がない場合や遺言書と違う相続を行う場合は、相続人全員で遺産分割協議を開きます。
遺産分割協議は、とくにいつまでにやらなければならないという期限はありませんが、相続の問題を先送りすることはトラブルの原因ともなるため、できるだけ早めに開くことをおすすめします。
遺産分割協議を経て、相続人全員の合意が成立すれば、遺産分割協議書を作成します。
相続人自身が作成できますが、重要な書類となるため少しでも不安があれば司法書士など専門家に依頼して作成してもらうとよいでしょう。

不動産の登記

遺産分割協議が済んだら、必要な書類を揃えて相続登記申請を行います。
相続登記は法務局の窓口で行うほか、郵送やオンラインでも申請可能です。

相続税の申告

上記の手続きを経て不動産を相続した場合は、相続税の申告を行います。
ただし相続税の基礎控除が適用される場合は、相続税はかからないので申告する必要はありません。
相続税の基礎控除額は法定相続人の人数によって変わり、以下の計算で求められます。

3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)

不動産相続に関する手続きの流れ②揃えるべき必要書類

不動産相続に関する手続きの流れ②揃えるべき必要書類

続いて不動産相続のために、揃える必要書類を見てみましょう。
不動産相続に際し、各種書類の収集はとても重要であると同時に、たいへん手間のかかる部分でもあるため、ご自身の状況などに応じて行政書士など専門家に依頼することも検討しましょう。
相続登記申請の手続きのため、揃えるべき必要書類は以下のとおりです。

登記申請書

登記の目的・原因・権利者・義務者などを記載して提出します。
A4用紙を使用し、手書きでもパソコンでも作成可能。
様式や記載例などは法務局のホームページで確認できます。

相続関係説明図

被相続人と相続人の関係を明らかにする書類です。
この書類を提出すると、手続き後に戸籍謄本を返却してもらえます。

相続人全員と被相続人の戸籍謄本

相続人の戸籍謄本は、被相続人の死亡日以降のものを取得して使用します。
被相続人の戸籍謄本は、ほかに相続人がいないかどうか判断するためのもので、出生時から死亡時まですべてのものが必要となります。

相続人全員の印鑑証明

発行から3カ月以内のものを提出します。

被相続人の住民票の除票

本籍の記載されているものを提出します。

遺産分割協議書

遺産分割協議を行って、相続人全員が合意した内容がわかるよう遺産分割協議書を作成して提出します。
法定相続分のみ相続する場合は不要です。

不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)

相続する不動産を特定するために必要となります。

不動産を相続する人の住民票

不動産を相続する人は、相続登記の申請のときに住民票を添付して提出します。

不動産の固定資産評価証明書

相続登記の際の登録免許税を計算するために使用します。
毎年4月1日以降に出る最新のものを用意しましょう。

不動産相続に関する手続きの流れ③相続にかかる諸費用

不動産相続に関する手続きの流れ③相続にかかる諸費用

最後に、相続税とは別に必要となる諸費用をまとめてみましょう。

不動産相続時に必要となる諸費用

不動産を相続する際に、必要となる費用は以下のとおりです。

登録免許税

固定資産税評価額の0.4%、法定相続人以外の場合は2%が必要です。

固定資産税評価証明書の交付手数料

お住まいの市区町村により200円から400円程度となります。

戸籍謄本の交付手数料

戸籍謄本の交付には450円、改製原戸籍謄本・除籍謄本の交付には750円がそれぞれかかります。

登記事項証明書の交付手数料

登記の内容を確認する場合に必要となり、法務局の窓口申請で600円、インターネット申請から郵送受け取りで500円、インターネット申請から法務局受け取りで480円かかります。

印鑑証明・住民票などの交付手数料

印鑑証明や住民票、住民票の除票、戸籍の付票の写しなどの交付にも、市区町村によりそれぞれ200円から400円程度かかります。

専門家に登記を依頼する場合の代行費用

不動産の相続登記を専門家に依頼して代行してもらう場合の代行費用は、上記の諸費用と比べて高額となるのでしっかり確認しておきましょう。
また税理士、弁護士、司法書士と、依頼する専門家によっても費用の相場に違いがあるので注意が必要です。

税理士に依頼する場合

税理士への報酬は、相続する財産額の0.5%から1%くらいが相場となります。
所有している不動産の数や財産の額によって、さらに報酬が加算される場合もあります。

弁護士に依頼する場合

弁護士への報酬は依頼する内容にもよりますが、相談料が30分5,000円程度、着手金が20万円から200万円以上と高額になることも。
さらに相続額などに応じた成功報酬が設定されます。

司法書士に依頼する場合

司法書士への報酬は、7万円から10万円くらいが相場となり、別途、交通費や実費などが請求されます。

不動産相続後に必要となる諸費用

不動産を相続したあとに必要となる、おもな費用は以下のとおりです。

不動産取得税

相続人以外が不動産を取得した場合に課せられる税金です。

固定資産税

所有している不動産によって課せられる税金で、不動産を相続した翌年から毎年納める必要があります。

所得税

相続した不動産を売却した場合、売却によって生じた譲渡所得に課税されます。
また賃貸物件を相続した場合は、家賃収入などの所得に対して課税されます。

不動産の維持管理費

不動産を維持管理するため、電気代や水道代、修繕費用などがかかります。

まとめ

不動産相続に関する手続きの流れや必要書類、さまざまな費用については参考になったでしょうか?
近しい方が亡くなられたときは、悲しみに暮れる間もなく相続の手続きをすすめなければなりません。
相続を受ける可能性のある方は、いざとなって慌てないために、また思わぬ遺産トラブルに巻き込まれないためにも、事前に大まかな流れを把握しておくといいかもしれませんね。