木造アパートを収益物件とするメリットデメリットとは?どんな費用が必要?

木造アパートを収益物件とするメリットデメリットとは?どんな費用が必要?

土地や資産を有効活用するために、木造アパートを建築し、収益物件として運用しようと考えていませんか?
けれども木造アパートは、RC造のマンションと比べると収益物件としては劣るのでは、と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、木造アパートを収益物件として運用するメリットとデメリット、発生する費用まで詳しく解説します。

木造アパートの特徴と収益物件にするメリット

木造アパートの特徴と収益物件にするメリット

まずは、そもそも木造アパートとはどのような物件なのかを解説し、収益物件とするメリットを5つ紹介します。

そもそも木造アパートってどんな建物?

木造アパートとは、主要な構造部分に木材を使用した集合住宅のことです。
主要構造部分とは、建物が倒壊しないように重要な役割を果たす部分で、柱や梁(はり)、壁、床、屋根、階段などを指します。
近年はこの構造部分に鉄骨を使うアパートも増えていますが、木造アパートもまだまだ根強い人気があります。
木造アパートはほとんどが2階建て以下で、集合住宅としては比較的規模が小さいことが特徴です。

木造アパートを収益物件にする4つのメリット

ここからは、木造アパートを収益物件にするメリットを4つ紹介していきます。

<初期費用が割安ですむ>

木造アパートを収益物件にする最初のメリットは、初期費用が割安ですむことです。
国土交通省の調査によると、木造アパートの建築工事費は、RC造や鉄骨造と比較すると3割程度低いことが分かっています。
初期投資が小さくてすむため、小規模な投資からスタートしたい人には取り組みやすい物件であるといえます。
ただしいくら木造でも、外装に凝ったりグレードの高い設備を導入したりするとコストアップし、RC造や鉄骨造なみに高額になる可能性もあるため注意しましょう。

<メンテナンスや修繕がしやすい>

木造アパートは、メンテナンスや修繕がしやすいこともメリットのひとつです。
木造アパートであっても、RC造や鉄骨造の建物と同じように、経年劣化にともないメンテナンスや修繕が必要になります。
外装の塗装については建物の構造による差はあまりないのですが、内装については木造アパートは比較的自由度が高いことが特徴です。
経年劣化が進み、今どきの間取りにリフォームしたいときも、水回りや壁の移動が容易な木造アパートならさほど難しくなく、低コストで行えます。

<解体費が安くつく

木造アパートは、解体費が安くつくこともメリットです。
RC造の解体費が1坪あたり10万〜15万円程度かかるのに対し、木造では5万〜7万円ほどなのが一般的です。
強固に作られたRC造などと比較すると、容易に解体できるため、アパートを壊して更地にするのも安価ですみます。
そのため、最終的には土地に戻して売却するという選択肢を持つことができます。

<節税効果が高い

節税効果が高いことも、木造アパートを収益物件として運用するメリットです。
木造アパートは、RC造や鉄骨造と比較して、法定耐用年数が短いことが特徴です。

<建物の法定耐用年数

  • RCコンクリート造:47年
  • 鉄骨造:19年〜34年(骨格剤の肉厚による)
  • 木造:22年

法定耐用年数が短いと、短期間で減価償却していくことになります。
そうすると経費として計上する金額が高くなるため、毎年の課税所得が小さくなることがポイントです。
所得税は所得が高い人ほど多く納める「累進課税制度」が採用されているので、大きな金額を短期間で償却したほうが、結果的に納める税額が少なくなるのです。

木造アパートを収益物件にする3つのデメリット

木造アパートを収益物件にする3つのデメリット

初期費用が安くすむ、節税効果が高いなど、木造アパートを収益物件にするとメリットが多くありますが、デメリットもあります。
ここからは木造アパートのデメリットを3つ紹介します。

<法定耐用年数が短い

法定耐用年数が短いことは、節税になるメリットがありますが、デメリットにもなり得ます。
まず、金融機関からの借入期間が短くなるので、月々の返済金額が大きくなりがちです。
その分手取りが経るため、キャッシュフローが悪くなります。
また、減価償却している間は問題ありませんが、法定耐用年数を超えると減価償却費を経費計上できなくなってしまう点にも要注意です。
収益から差し引ける経費が少なくなる結果、所得が増えることになり、税負担が重くなります。
大規模修繕が必要な年数にもなることから、売却を考えたとしても、法定耐用年数を超えているので買い手がなかなか見つかりません。
木造アパートを収益物件とするなら、減価償却が早く終わることを織り込んだ資金計画を立てておきましょう。

<住宅性能が低い

木造アパートは、RC造や鉄骨造と比較すると住宅性能が低いことも気になります。
木造はとくに遮音性が低いため、上下階や隣室との騒音トラブルが起きやすい点には注意が必要です。
住民同士でトラブルが発生すると、住民が退去して空室率が高まるリスクがあります。
収益物件にとって、空室率が高まることは大きなデメリットになります。

<地震や火災などの災害に弱い

木造アパートは、地震や火災などの災害に弱いこともデメリットのひとつです。
木造住宅はRC造や鉄骨造と比較して耐震性能に劣るため、倒壊リスクは高くなります。
万が一倒壊してしまうと、未払いのローンだけが残ることにもなりかねません。
また火災についても、木造アパートは燃え広がりやすい特徴があるため、1部屋で発生した火災が次々と延焼してしまう可能性があります。
災害のリスクを少しでも減らすためには、火災保険・地震保険の加入は怠らないようにしましょう。

収益物件としてアパートを建てるために必要な費用

収益物件としてアパートを建てるために必要な費用

それでは最後に、収益物件として5,000万円のアパートを建てると仮定して、必要な費用を紹介します。

設計費

設計費は、どこに依頼するかによって異なります。
設計を設計事務所に発注する場合は、総予算の5%程度を見積もっておくといいでしょう。
5,000万円の木造アパートを建てるなら、250万円前後です。
大手ハウスメーカーなどに、設計から施工までを一貫して依頼するなら、設計費は工事費に含まれるのが一般的です。

建築費

建築費は、総予算の85%程度、5,000万円の木造アパートなら4,250万円を見積もります。
建築費は、建物本体にかかる本体工事費と、地盤改良やライフラインの引き込みなどを行う付帯工事の2つに大きく分かれます。
本体工事費は建築工事費全体の80%、付帯工事費は20%程度を見ておきましょう。
建築費予算4,250万円なら、本体工事費に3,400万円、付帯工事費に850万円程度になります。

諸費用

諸費用は、敷地の測量や地盤改良にかかる費用、建築確認などの手数料などが含まれます。
ほかにも金融機関から借り入れを行うときや登記するときの手数料、司法書士に支払う報酬などが該当します。
諸費用は、全体予算の10%程度を計上しておくのが一般的です。
全体予算が5,000万円なら、500万円程度は細々した出費に残しておくようにしましょう。

まとめ

木造アパートを収益物件として建築するメリットデメリット、そして費用まで紹介してきました。
木造アパートは、RC造などと比較すると低予算で建築できるため、低予算で資産運用したい人には向いています。
ただし法定耐用年数が短いので、短期で集中して収益を上げることを考えるのが得策です。
耐用年数が過ぎると売却が難しくなることまで念頭におき、長期の資産計画を立てるようにすることが大切です。