アパート経営するなら知っておきたい減価償却税とは?

アパート経営するなら知っておきたい減価償却税とは?

アパート経営をおこなう際、不動産取得費や固定資産税などさまざまな税金が発生します。
そのなかに減価償却税というオーナーや大家さんが申告する税金があるのですが、「どのような税金?」と思う方も多いでしょう。
アパート経営における減価償却税と減価償却費とはなにか、税金の申告期限や計算方法、課税対象となる物件についてお伝えします。

アパート経営における減価償却税と減価償却費とは?

アパート経営における減価償却税と減価償却費とは?

まずはアパート経営における減価償却税と減価償却費とはどのようなものなのか見ていきましょう。
減価償却税とは固定資産税のなかの1つで、アパート経営するための物件など、固定資産に課税される税金です。
固定資産税とは毎年元旦の時点で、土地や建物などの不動産を持っている方に発生する税金を指し、土地と建物のほか、減価償却費に該当する資産も対象となります。
減価償却費に該当する資産とは、パソコンなど年月の経過とともに価値が減少していく資産のことです。

減価償却費ってなに?

アパート経営するなかで、「減価償却費」という言葉を耳にするかと思いますが、「なんだか難しそう…」と思う方もいるのでは?
減価償却費とは車やエアコン、応接セットなどを購入した際、その購入代金を一括で経費にするのではなく、分割して少しずつ計上することをいいます。
たとえば150万円の応接セットを購入したら、購入した年に150万円を一気に計上するのではなく、最初の年は50万円、来年も50万円という風に少しずつ経費にしていくのです。
車など高価な買い物のときも、応接セットのように何年かかけて計上していきます。
年月の経過により劣化し、その価値が目減りしていく固定資産が減価償却費の対象です。

アパート経営における減価償却税の申告期限と計算方法とは?

アパート経営における減価償却税の申告期限と計算方法とは?

次にアパート経営をおこなう際の、減価償却税の申告期限や申告方法・税の計算方法を見ていきます。

申告期限は?

減価償却税の申告期限は、毎年1月31日までと決まっています。
資産がある場所を管轄する税務署の償却資産班に申告してください。
申告期限を過ぎないよう、余裕を持った手続きを心がけましょう。

申請方法は?

申告方法は書面に記入して窓口に持っていくか、インターネットを使った電子申告の2種類から選びます。
さらに電子申告は「一般方式」と「電算処理方式」のどちらか好きな方を選ぶことが可能です。

一般方式

一般方式とはアパート経営で所有している不動産が、増えたり少なくなったりしたときに使用します。
増加用の申告書と減少用の申告書があるので、増加または減少した資産の種類や耐用年数などを記入してください。
アパートを経営がはじめてで、減少した資産がない場合は増加用の申請だけでOKです。

電算処理方式

電算処理方式は評価額を入力するタイプなので、一般方式に比べて少し手間がかかります。
「評価額計算がよくわからない」「普段からソフトは使っていない」という場合は、無難に一般方式を選ぶといいでしょう。
日常的に償却資産申告書が作成できるソフトで固定資産を管理している場合は、電算処理方式でも問題ないかと思います。

減価償却税の計算方法

減価償却税の計算方法は、取得時期や耐用年数から、それぞれの償却資産の評価額を算出することからはじめます。
ただし、前年度に取得した資産と、前年以前から取得している資産では計算方法が異なるので注意してください。

  • 前年度に取得した資産:取得価額×前年中取得分の減価残存率=評価額
  • 前年前に取得した資産:前年度評価額×前年前取得分の減価残存率=評価額

減価残存率とは1年間使用した資産の価値を算出するための割合です。
償却資産に関係する評価額は、取得価額の5%が最低限度なので、5%になるまで毎年減価償却費を出し続けます。

申告期限を過ぎても手続きしなかったら?

アパート経営をおこなっているにもかかわらず、申告期限を過ぎても手続きしなかった場合、管轄する税務署から連絡が入ったり職員が訪問したりします。
「アパート経営とは事業ではなく、資産運用の延長」という認識の投資家も多いため、減価償却税の申告をうっかり忘れてしまうこともあるでしょう。
しかし申告期限を遵守する方がいるなかで、自分だけ申告しないというのはいかがなものでしょうか?
不公平さを生まないためにも、アパート経営をおこなう際は申告期限を守り正しく手続きしてください。

アパート経営で減価償却税の対象となるものとは?

アパート経営で減価償却税の対象となるものとは?

ではアパート経営で減価償却税の対象となるものとは、どのようなものが挙げられるのでしょうか?

減価償却費の対象となるもの

  • 構築物舗装路面、庭園、門や塀、緑化施設などの外構工事、看板、ゴルフ練習場設備、受変電設備、予備電源設備、そのほかの建築設備、内装や内部造作など
  • 機械または装置各種製造設備などの機械、クレーンなどの建設用機械、立体駐車場などの機械式駐車設備
  • 船舶、ボート、釣り船、漁船、遊覧船など
  • 車両または運搬専用の大型特殊自動車(分類記号が「0、00から09、000から099」「9、90から99、900から999」の場合
  • ヘリコプター、航空機、グライダー
  • 工具、電動工具、器具、備品のパソコン、陳列専用の棚、看板、医療機器、測定工具、理容機器や美容機器
  • 受変電設備や発電機設備、駐車場の舗装、避難器具、防犯カメラなどの監視設備
  • 室内に設置されたエアコン、ゴミステーション、駐輪場、フェンス、太陽光発電システム、インターネット設備、共用部にあるインターフォン(各住戸にあるものは含まれない)、装飾品、宅配ボックス

このようにアパート経営ではさまざまなものに対し減価償却税が課税されます。
しかしすべてが減価償却税の対象となるわけではなく、取得(購入)したときの費用が10万円以上のもののみです。
上記の内容は全国どこの都道府県市区町村でも同じ内容なので、自治体のホームページをチェックしてみるといいでしょう。

減価償却費の対象とならないもの

  • 給湯器、トイレの便器、バスタブ、キッチンのシンク、床暖房設備、各住戸に設置されたインターフォン
  • 耐用年数が1年未満、もしくは取得時の価格が10万円未満のもの
  • 取得時の価格が10万円以上20万円未満の資産で、3年間で均等に償却したもの
  • 固定資産税が課税される住宅
  • 平成20年4月1日以降に締結されたリース契約で、売買扱いになるファイナンスリースかつ取得時の金額が20万円未満のもの

アパート経営でリフォームやリノベーションする際、最近は設備をリースで導入する方が増えています。
エアコンやウォシュレット、洗面台などリースできるものの種類も豊富なので、ほとんどの資産をリースで準備することも可能です。
しかしリースの場合、リース会社に納税義務が発生するため償却資産に含まれません。
節税対策につながる可能性があるので、自分の所有物でなくともOKという方は、リース契約も視野に入れてみてください。
また「取得時の価格が10万円以上20万円未満の資産で、3年間で均等に償却したもの」も、減価償却税の対象外です。
取得金額を経費にできるので、リース契約同様節税につながります。

まとめ

この記事ではパート経営における減価償却税と減価償却費をテーマに、減価償却税とはどのようなものなのか、申告期限や計算方法、対象となるものを見ていきました。
アパート経営をおこなう以上、減価償却費や減価償却税の申告は避けられないいので、正しく手続きすることが大切です。
今回ご紹介した内容を参考に、減価償却税の理解を深めておきましょう。
生前贈与は、相続税対策に有効な手段の一つとなります。
110万円の範囲内で年々贈与することや、税率を下げる範囲内での贈与といった方法により納税負担を減らすことが可能です。
しかし、しっかりと理解したうえで行わなければ、後々贈与した財産が加算される場合があります。
贈与に関するしっかりとした知識がポイントです。