アパート経営における修繕積立金とは?費用の目安や注意点

アパート経営における修繕積立金とは?費用の目安や注意点

アパート経営をおこなう際、保険料や税金の支払いとは別に、修繕積立金を準備しなければなりません。
100万円以上などある程度まとまったお金になるので、余裕を持って準備する必要があります。
では、修繕積立金とは具体的にどのような費用なのでしょうか?
この記事ではアパート経営における修繕積立金に対しての考え方をテーマに、修繕積立金とはなにか、費用の目安や注意点をお伝えしていきます。

アパート経営における修繕積立金とは?

アパート経営における修繕積立金とは?

まずはアパート経営で必要な修繕積立金とはどのようなものなのかを見ていきましょう。
修繕積立金とはアパート経営をおこなう際、定期的なメンテナンスに必要となる費用です。
分譲マンションを購入すると、一般的に修繕積立金を毎月管理会社に支払います。
マンションの老朽化などで大規模な修繕が必要になったとき、入居者が支払った修繕積立金からその費用を支払うのです。
しかしアパート経営の場合、オーナーや大家さんがその費用を負担しなければなりません。
そのため注意点としては毎月貯金するようなかたちで少しずつ貯め、修繕時期になって困らないよう準備しておく必要があります。
また不動産運用をおこなう際、投資商品としてアパートやマンションを購入するのが一般的です。
アパートやマンションといった建物は、時間の経過とともに劣化していきます。
入居者に長く住んでもらうためには、快適な住環境をつくりなるべく長く住んでもらうことがポイントです。
そのため定期的な修繕・メンテナンスを実施し、高い経営水準をキープしましょう。

修繕積立金の種類とは?

では修繕積立金の種類とは、どのようなものがあるのでしょうか?

小規模な修繕

小規模な修繕とは、比較的頻繁におこなう修繕です。
たとえば退去者が出たあと次の入居者のためにハウスクリーニングをおこなったり、室内を消毒したりします。
場合によっては設備のちょっとした修理や交換をおこなうこともあるでしょう。
そのような修繕を小規模な修繕または原状回復と呼び、頻度としては2年から3年のペースでおこなうのが一般的です。
契約更新されず、空き家が出ない状況だと頻度はもっと少なくなります。
また専有部分だけでなく、共用部分のメンテナンスも小規模な修繕の1つです。
「共用部分の廊下にある電球が切れた」「コンセントの交換」といった日常的におこなう修理も、小規模な修繕に含まれます。
修繕積立金とはこのような軽度な修繕にも充てられるので、アパート経営には欠かせない費用といえるでしょう。

大規模な修繕

アパート経営において、大規模な修繕も避けては通れません。
大規模な修繕とは外壁の塗り替えや屋根の補強、防水加工の実施など大掛かりな修繕のことです。
大規模な修繕は物件の規模にもよりますが、10年から15年のスパンでおこないます。
建物に不具合がない場合や修繕しなくても住める場合、大規模な修繕をおこなわないケースもありますが、定期的なメンテナンスがされていない賃貸は入居者からあまりいい印象をもらえません。
空き室が続いたり入居率が下がったりして、円滑なアパート経営が続かなくなる恐れがあるので、待ち構える大規模な修繕に向け修繕積立金を準備しましょう。

アパート経営における修繕積立金の費用の目安とは?

アパート経営における修繕積立金の費用の目安とは?

アパート経営で発生する修繕積立金は、一般的に100万円から200万円が目安の費用とされています。
一般的に実施される修繕を参考に、具体的な費用の目安を見ていきましょう。

外壁工事

外壁工事は、アパート経営を代表する大きな修繕です。
外壁材の塗り替えをはじめ、ひび割れやタイルの剥がれなども修理していきます。
建物の見た目の印象を良くするためだけでなく、マンションやアパートの耐久性も左右するので、アパート経営では必ず実施したい修繕です。
外壁工事の費用の目安は、1平方メートルあたり1万円から3万円を見ておくといいでしょう。
足場をどの程度設置するか、物件の規模、使用する材料などによって異なるので、見積もりをもらっておくと安心です。

防水工事

雨漏りを防ぐために、防水工事も修繕積立金で実施します。
防水工事とはベランダやバルコニー、屋根などに施す修理で、10年から15年のサイクルでおこなうのが一般的です。
使用する塗料のスペックによりますが、1平方メートルあたり1万円未満が目安費用となります。

配管類の工事

配管類は放置すると臭いの原因となるので、20年から30年のサイクルで修理します。
補修する程度で済むなら1戸あたり20万円、穴が空くなど状態が悪く交換になる場合は40万円から50万円が費用の目安です。

修繕積立金はどう貯める?

アパート経営において必須となる修繕費用は、計画的に貯めておく必要があります。
新築後10年から15年後と聞くと「まだまだ先だからいいや」と考えていると、いざ実施の時期に費用が足りないということになりかねません。
そのためあらかじめ修繕工事を実施する計画を立て、その費用を着実に積み立てていくことが肝心です。
計画の立て方としておすすめなのが、事業収支計画に修繕のための費用を盛り込んでおくことです。
事業収支計画とは家賃収入と支出の洗い出し、住宅ローンの返済金額や時期を表にしたもので、将来に渡っての収入と支出を予測できます。
先述した通り、大規模な修繕には100万円から200万円ほどの費用が必要です。
その金額を着実に積み立てるためには、家賃収入の5%を事業収支計画に組み込むようにしましょう。
家賃は地域によって異なりますが、以下の金額が目安です。

  • 1Kから1DK:5,000円程度
  • 1LDKから2DK:6,000円程度
  • 2LDKや3LDK:8,000円程度
  • 4LDK以上:15,000円程度

修繕費用をおさえることも可能

アパート経営で発生する修繕費は、日々の管理やこまめなメンテナンスでおさえることも可能です。
なにか不具合が生じたとき、迅速に対応すれば大掛かりな修理を防げますし、入居者の満足度も上がるかもしれません。
修繕費用をおさえたいからといって必要な修理やメンテナンスを実施しないと、入居者が集まらず、安定したアパート経営をおこなえなくなります。

アパート経営の修繕積立金における注意点とは?

アパート経営の修繕積立金における注意点とは?

アパート経営で発生する修繕積立金などの費用は、経費として計上できないのが注意点です。
同じ金額を毎月積み立てていっても、実際は修繕をおこなっていないため、経費として認められません。
そのため修繕のタイミングまでのあいだ、どのように節税するかを考える必要があるのも注意点の1つでしょう。
実際に修繕をおこなえば経費として計上できますが、支払ったタイミングでしか税務上処理できないということをおさえておいてください。

法人の場合は生命保険の返戻金を充てることも可能

生命保険に加入し、節税しながら修繕積立金を貯めることも可能です。
修繕時期が来たときに保険を解約し、その返戻金を修繕費用に充当させれば、税金負担を回避しながらお金を貯められます。
しかしオーナーや大家さんが個人の場合は、今現在このようなプランがないのが注意点です。
先ほどお話しした通り、家賃の約5%を毎月貯めなくてはなりません。

まとめ

この記事ではアパート経営における修繕積立金に対しての考え方をテーマに、目安の費用や経費に関する注意点などをお伝えしました。
修繕費は必ず必要となるので、少しずつ着実に貯めていくのが得策です。
日常的に物件をチェックしておけば、小さな不具合も見つけやすいでしょう。
アパート全体の雰囲気を良好に保つため、計画的に準備してください。