夫婦で不動産を購入した際、登記簿には所有者の権利が登記されますが、夫婦どちらの名義で登記されるのでしょうか。
夫婦二人の名前で共有名義にすることは可能でしょうか。
共有名義にすると税制上のメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。
不動産を取得し共有名義にしたい場合はしっかり検討してから実行しましょう。
Contents
不動産を共有名義にするメリットとデメリット
不動産を購入し投資用として所有する場合、共有名義になると所有者が何人かいることになります。
投資家同士でお金を出し合うことケースもありますし、夫婦で共有名義にするケースもあるでしょう。
共有名義とは、そもそも何のことでしょうか。
不動産投資をする際に共有名義にするメリット・デメリットを把握しておきましょう。
共有名義のメリットとは
不動産を所有して共有名義にすると、単独の名義では得られないメリットがあります。
住宅ローン控除
相続税の節税
夫婦で不動産を購入して所有する場合、司法書士に依頼し登記簿に共有名義で登記することができます。
夫婦で共有名義にすると、夫婦それぞれが「住宅ローン控除」を収入に対して適用してもらえます。
住宅ローン控除とは、年末残高に住宅ローンが1%、10年間にわたり減税される制度であり、所得税と住民税が減税の対象になります。
夫婦共働きのケースで共有名義は単独名義と比較して減税額が多くなり、夫・妻両方が住宅ローン控除が使用でき所得税も住民税も減税となります。
相続税の節税も可能です。
通常、単独名義で不動産が夫の名義だった場合、亡くなって相続が行われる際、不動産評価額は変わらないまま課税対象になります。
しかし共有名義なら、課税対象財産となるのは夫の持ち分である部分のみなので、相続税は夫一人の単独名義よりも節税になります。
夫の持ち分、妻の持ち分の割合については、不動産を購入したときに支出した資金によって決まります。
資金を支出せずに共有名義にすることもありますが、支出した金額より多くの割合を共有の持ち分と登記すると、贈与とみなされてしまう可能性もあるので気をつけた方がよいでしょう。
共有名義のデメリットとは
夫婦で不動産を所有し共有名義にすると住宅ローン控除などのメリットがありますが、共有名義にすることでデメリットも発生します。
売却しにくくなる
相続が行われると所有者が増えていく
夫婦で不動産を所有し共有名義にしていた場合、売却する際は共有者全員分の同意を得る必要があります。
万が一夫婦が離婚した場合、財産分与が問題となります。
離婚の際、夫が不動産を売却したくても、妻が共有名義人なら売却拒否して物件に住み続けることも可能です。
いくら夫側が売却すると主張しても事実として売却は不可能なのです。
名義を共有名義から単独名義に変更したい時も金融機関へ連絡を取り、承諾を受けなければ実行できません。
住宅ローンを二人で分けていたとしても、どちらか一人が負担していくことになるかもしれません。
共有名義人のどちらかが亡くなり相続が行われる場合、相続人が複数いるケースでは共有名義だったものが3人、4人と増えていくかもしれません。
不動産を共有している人が増えると、売却や改築などの際に共有者全員の話が合わずなかなか前に進まない可能性もあります。
共有名義での不動産管理について
不動産管理にあたって共有名義であることは複数人が資金を出し不動産が各々の所有物となる状態のことをいいます。
それぞれの所有権には割合があり、持分権や持ち分と呼ばれています。
持分権や持ち分は法律や話し合い、出資金額などで決まります。
取り決めなどが行われていないケースがありますが、その場合の持ち分は均等に分けられます。
共有名義となっている人は持ち分によって不動産を使えますが、大掛かりな修繕工事などをおこなう際は、共有者全員の合意が必要となります。
共有名義の持ち分をしっかり決めておく
修繕工事などはいつか行わなければならないので、修繕を負担する割合は持ち分に応じて購入時に決定されるケースが多いです。
不動産収益の取り分をどうするのか、管理負担はそれぞれがどれくらい受け持つのか話し合っておかなければ後からトラブルになることもあります。
不動産投資として共有名義にする利点は、単独名義では資金が用意できない物件でも共有なら購入可能な点です。
土地所有者が合意することで複数の土地を合わせた場所に建物を建設し、収益を最大化させることも良い不動産投資でしょう。
注意点として、投資用の不動産の場合、住宅ローンの控除は受けられません。
住宅ローンの控除対象となるのは投資用ではなく居住用の不動産に融資されるローンのみです。
居住用の住宅ローンで不動産投資をしてしまうと不正行為になりかねません。
共有名義だと不動産の管理がしづらいことがある
不動産投資を共有名義でおこなうと、不動産の管理はやりづらくなります。
自ら進んで管理をしたがる人はあまりいませんし、修繕の際、売却の際などはその都度所有者全員で合意しなければいけないので大変です。
所有者のうちひとりでも反対意見があれば話は進まなくなります。
場合によっては所有者同士で相続が行われることもあり、期限のある売買をおこなう時は共有している持ち分があると話がスムーズに進まず複雑になってしまいます。
金額の取り決めや引き渡しの時期を決める話し合いが難航するかもしれません。
書面で取り決めをしておくと安心
共有名義で不動産投資をして夫婦でお金を出し合うと、相続などの際に共有者が増える可能性もあります。
それぞれが負担している割合で持ち分を決定することもできますし、話し合いで決めることもできますし、等分することも可能です。
ただ持ち分を決めるだけでなく、管理者は誰にするのか、売却合意の際に揉めることがないかなど不安な要素もあるでしょう。
後々困ることがないように、不動産を購入した際に書面で取り決めをしておくと安心です。
名義変更の際は夫婦間の合意が必要
夫婦で一戸建てを相続したり、一緒にマイホームを購入したりすると、夫婦で共有名義になったり、他の相続人と共有名義になったりします。
後々トラブルが発生することを事前に防ぐために、共有名義の解消・変更をしておきたいという人も多くいるはずです。
共同で出資して不動産を所有する
不動産には土地、マンション、一戸建てなどいろいろありますが、それらの不動産を購入する際共同で出資し共有名義とすることで、出資した割合によって所有者の持ち分を登記することができます。
登記すると、登記簿に記載され社会的に権利関係などを公示することが可能です。
単独では不動産を所有できなくても、出資し合うことで共有名義によって不動産が所得できます。
離婚の際の名義変更について
離婚の際は不動産などの名義変更を行い財産分与するケースも多いはずです。
離婚届の提出だけでなく、夫婦間で協議した上で合意に達していなければ名義変更は難しいです。
名義変更する場合は夫婦で一緒に申請する必要があります。
夫婦のうちどちらかが合意していない場合は裁判所に解決してもらいます。
離婚届を提出した後の財産分与には期限があり、離婚届を提出してから2年以上たってしまうと財産分与の請求ができなくなってしまうので気をつけてください。
夫婦で共有名義にするメリットとデメリット
夫婦で不動産を購入し共有名義にした場合は税制上のメリットがあり住宅ローン控除などを受けられます。
夫婦二人の合意さえあれば法務局への申請は書類に署名捺印すれば名義変更が可能です。
デメリットもあり、離婚した場合などは共有する不動産について合意に達することができなかったり難しかったりするケースもあります。
共有者全員で協議をしなければ共有名義を解消したり変更したりできないので、話し合いの際は時間もかかることが多いでしょう。
夫婦で不動産投資をして共有名義を取得したい時はメリット・デメリットどちらも考えた上で申請手続きをしましょう。
安易に共有名義にしても後々デメリットとなり困ることもあるでしょう。
不動産を購入する時はスムーズにいっても、離婚した際は不動産をめぐる話し合いがまとまりにくいことがあります。
税制上はメリットがあるので共有名義にしておいてもいいのですが、後からトラブルが発生しないためにも前もって夫婦で名義について話し合っておきましょう。
まとめ
不動産を購入すると登記簿に所有者の権利が登記されます。
夫婦で不動産を購入すると、どちらか一方の単独名義にすることもできますが、共同名義にすることもできます。
夫婦で共有名義にする税制上のメリットがあるので、共有名義にしたい人も多いでしょう。
共有名義にする際は、メリットもデメリットも把握した上で行いましょう。