アパート経営するなら知っておきたい!税金の種類や計算方法の基礎知識

アパート経営するなら知っておきたい!税金の種類や計算方法の基礎知識

アパート経営を検討しているなら、収益に対してどのような税金がどれくらいかかるのかをあらかじめ知っておく必要があります。
収益に対してかかる税金を考慮しておかないと、せっかく収益がでたのに税金の負担が大きく手元にいくらも残らないことにもなりかねません。
そこで今回は、アパート経営をするなら知っておきたい税金の種類や計算方法、確定申告の方法や納付時期を紹介していきます。

アパート経営で課税される税金の種類

アパート経営で課税される税金の種類

アパート経営することで課税される税金は、主に以下の4つです。

  • 所得税
  • 固定資産税
  • 住民税
  • 個人事業税

それぞれどのような税金なのかを解説します。

所得税

アパート経営では家賃収入を得ますが、家賃収入から出た利益に対して発生するのが所得税です。
所得税には、総合課税と分離課税の2種類があり、以下のように異なります。
総合課税:不動産所得や給与所得など区分分けされた所得を合算して課税する
分離課税:区分分けされた所得をそれぞれ独立して課税する
アパート経営で得られる所得は、不動産所得として総合課税に含まれます。
総合課税に分類される所得に対しては、金額が増えれば増えるほど税率が高くなる「累進課税制度」が採用されているのが特徴です。

固定資産税

アパート経営においては、土地や建物に対して課税される固定資産税も課されます。
固定資産税は、所有している土地と建物それぞれに対して、国が定めた固定資産税評価額に基づいて税額が算出されます。

住民税

住んでいる都道府県や市区町村などの自治体に対して支払う住民税も、アパート経営者に課せられる税金のひとつです。
住民税は見落としがちですが、意外と負担が大きくなる税金なので、忘れず資金計画に入れておくようにしましょう。

個人事業税

アパート経営で得られる家賃収入が一定額を超えたときには、個人事業税も課税されます。
アパート経営においては、10室以上の物件を持っている場合に課税対象となります。

アパート経営にかかる固定資産税などの税金の計算方法

アパート経営にかかる固定資産税などの税金の計算方法

ここからは、アパート経営で念頭においておくべき所得税・固定資産税・住民税・個人事業税の4種の税金について、計算方法を解説します。
どのくらいの税金が発生するのかをあらかじめ把握しておくことで、少しでも正確なキャッシュフローの見込みを立てるようにしましょう。

所得税

アパート経営における所得税は、家賃収入で得た利益に対して課税されます。
ここでいう利益とは、家賃収入そのままではなく、家賃収入から管理費や修繕費、火災保険の保険料など、必要な経費を差し引いたものを指します。
不動産所得は総合課税となるので、給与所得などがあるならそれらを合算した所得金額に対して課税され、税額が決まることが特徴です。
たとえば給与所得が600万円あり、アパート経営による不動産所得も500万円であった場合、あわせて1,000万円が課税所得となります。
税額を算出するための所得税率は以下のとおりです。


課税所得金額|税率|控除額
195万円以下|5%|0円
195万円超 330万円以下|10%|97,500円
330万円超 695万円以下|20%|427,500円
695万円超 900万円以下|23%|636,000円
900万円超 1,800万円以下|33%|1,536,000円
1,800万円超 4,000万円以下|40%|2,796,000円
4,000万円超|45%|4,796,000円


課税所得が1,000万円の場合、税率33%、控除額1,536,000円であるため、1,000万円×33%-1,536,000円=1,764,000円が所得税額となります。

固定資産税

固定資産税は、自治体が定める固定資産税評価額に、標準税率1.4%をかけた金額が課税されます。
固定資産税評価額は、時価のおおよそ70%とされており、毎年送付されてくる納付書で確認が可能です。
土地については、敷地面積が200平方メートル以下であれば、6分の1にまで減税される特例措置を受けられます。
たとえば土地が5,000万円、建物が3,000万円だった場合、

土地:6,000万円×1.4%×1/6=14万円

建物:3,000万円×1.4%=42万円

となり、合計56万円が固定資産税として課税されます。

住民税

住民税は、所得税と同様に、総合課税で算出した所得を元に計算します。
住民税は所得額に都道府県民税4%、市町村税6%の合計税率10%をかけたものと、地域ごとの均等割が加算されたものが税金額になります。
均等割は地域によって額が異なるため、お住まいの自治体に確認するようにしてください。

個人事業税

アパート経営に対する個人事業税は、所得金額から事業主控除290万円を差し引いたものに、税率5%をかけて算出します。
よって、不動産所得が290万円以下であれば、個人事業税は発生しません。
不動産所得が500万円であった場合には、500万円-290万円=210万円×5%=10万5千円が個人事業税として課されます。

アパート経営で確定申告が必要な税金と申請時期

アパート経営で確定申告が必要な税金と申請時期

アパート経営で発生する税金は多額になりがちなので、納税時期にキャッシュがショートすることがないよう、税金を納付するタイミングを知っておくことは大切です。
ここでは確定申告が必要な税金と不要な税金、それぞれの税金を支払うタイミングを紹介していきます。

確定申告が必要な税金と不要な税金

まずは、確定申告が必要な税金と不要な税金を分けておきましょう。
紹介してきた所得税・住民税・固定資産税・個人事業税のうち、確定申告が必要になるのは所得税のみとなります。
そもそも確定申告は、前年度の所得を確定するために行われるものです。
住民税や固定資産税、個人事業税は、確定申告によって確定した所得に基づいて算出されるため、特別な手続きは必要ありません。
確定申告は、基本的に毎年2月16日から3月15日に実施されます。

税金を支払うタイミング

税金を支払うタイミングは、税金により異なるため、それぞれ確認しておきましょう。

・所得税

所得税は、確定申告期限日までに納付するのが原則です。
そのため基本的には3月15日が納付期限となります。
銀行口座から口座振り替えする場合には少し遅くなり、4月下旬頃に振り替えされるのが一般的です。
振り替え納付を希望するときには、事前申請が必要です。

・住民税

住民税は、6月・8月・10月・翌年1月の4回に分けて納付します。
納付期限は、原則6月30日、8月31日、10月31日、翌年1月31日です
住民税は一括納付も可能で、希望する場合には6月30日までに納めます。

・固定資産税

固定資産税は、4月から6月にかけて自治体から納税通知書が届き、6月・9月・12月・翌年2月の4回に分けて納付するのが一般的です。
自治体によっては一括納付も認められているので、希望する場合には問い合わせるようにしてください。

・個人事業税

個人事業税は、納税対象となっている場合には8月に納税通知書が送付されます。
8月と11月の2回に分けて分納し、各月末が納付期限となります。

まとめ

アパート経営をするときに知っておきたい税金の種類と計算方法、納付の時期などを紹介してきました。
アパート経営では多額の利益が発生することも想定され、その場合納める税金も大きくなりがちです。
支払いのタイミングでキャッシュが不足する事態にもならないよう、あらかじめ資金計画に入れておくようにしましょう。